ミニマリスト ひかるの本棚

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【LIFE SCIENCE】の本要約。科学的思考からオートファジーまで学べる一冊

 先日読んだLIFE SCIENCE 長生きせざるをえない時代の生命科学講義の要約です。とてもわかりやすく生命科学について学べる本でしたので、あまり馴染みがない・難しそうと思ってしまう方にもおすすめの一冊でした。

 

 

 

 

 

 

科学的思考とはなにか

 本書では冒頭の章でそもそも科学的とはどういう意味か、ということについて説明があり、

 

科学は何かというと、仮説(理論)をどんどんよいものにして、真実に近づける営みです。

 

と書かれており、決して100%これが真実であると断定することではないと書かれています。それはなぜかというと、科学はそもそも仮説を立てて、それを検証していくということの積み重ねをやっているからで、仮説を立てて違っているものを潰してまた新しい仮説を作っていくということを繰り返し行っていくことだからです。

 

 

 

 よく言われる科学とそうではないものとして、たとえば何かの占いのようなもので「明日は事故にあうかもしれない。でも○○をすれば回避できる」と言われ、○○をしたらその日事故にあわなかった。これは○○をしなかったという日を再現することは絶対できないので科学とは言えません。対して、「すべての白鳥は白い」という仮説があるとすれば、白くない白鳥が見つかれば仮説が間違っていることを証明できます。反証可能性として説明されるものです。

 

 

 

 本書でも断定するものは科学的に怪しいと書いてあり、真理には到達できないのであれば「仮説にもとづけばこういう可能性があります」という言い方しかできないとされています。

 

 

 

 そして生命科学の本の冒頭で科学的思考についての章を割いているのは、怪しい情報やエセ科学に騙されずに判断ができるようにするためだと説明されています。ゲノム編集、遺伝子組み換え、コロナウィルスワクチンなどさまざまな情報が飛び交うなかで、真実に近い判断をするための軸になるのが科学的思考。なんとなく難しそうな印象になってしまいますが、本書ではさまざまな例を出しながらとてもわかりやすく説明してくれています。

 

 

 

生命の基本は細胞

 生物とは何があれば生物とみなされるのか。それは「細胞」を持っているかであり、あらゆる生命の基本単位となります。なぜ、細胞は生命の基本単位となるかというと、その理由は2つ。一つは、細胞のひとつひとつが生きているから。もうひとつの細胞にひとりの人間をつくるすべての情報が入っているからです。

 

 

 

 細胞にはすべての遺伝情報が入っており、命の設計図といわれています。細胞とその中身はタンパク質でできており、そのタンパク質がどのような働きをするようにするのかを決めているのが遺伝子で、よく聞くDNAというのは遺伝子になる4つのアルファベットで書かれた素材のことだそうです。

 

 

 

 DNAのアルファベットが3つ並んでアミノ酸となるように指示されたものが、それが集まるとタンパク質となり、私達の身体を構成してくれているので遺伝子はタンパク質の設計図と呼ばれていること、タンパク質のひとつである酵素が身体の脂質や核酸をつくったり、栄養を分解していることなど、すべて上げるときりがありませんが、日常的によく聞くけどよくわからない生命科学の用語や仕組みについてとてもわかりやすく解説してくれています。

 

 

 

寿命を伸ばすためにできること

 最後の二章ではオートファジー研究について主に説明がされています。私自身、以前に空腹こそ最強のクスリの書評を書いたことがあるのと、日常的にファスティングを取り入れているのでとても興味のある分野として読ませて頂きました。

 

koizumihikaru1234.hatenablog.com

 

 

 オートファジーとは「細胞の中の恒常性を保ち、細胞の中のものを回収して分解・リサイクルする」仕組みのことで、細胞の新陳代謝を行っています。マウスの実験では、特定の臓器でオートファジーが起こらないマウスを作ると、その臓器では病気になるそうで、オートファジーが生命の維持に非常に大切な機能であることが説明されています。

 

 さらに寿命を伸ばす5つの方法として以下が挙げられており、

①カロリー制限

②インスリンシグナルの抑制

③TORシグナルの抑制

④生殖細胞の除去

⑤ミトコンドリアの抑制

 

 ②はインスリンをあまり働かせすぎないこと、③は細胞の中で細胞の増殖や代謝をコントロールし、タンパク質の合成を促進しているタンパク質のことです。とても興味深いなと思ったのは、どれも使いすぎないようにすることが寿命が伸びるということ。理由はまだよくわかっていないそうです。

 

 

 

 そして寿命の延長とともに注目されているのは、オートファジーの働きを抑制するルビコンというタンパク質があるのですが、ルビコンがない線虫という動物は老いても運動量の低下が認められなかったそうで、つまりルビコンを抑制してオートファジーが働き続けるようにすれば老化を止められるかもしれない可能性があるというから驚きです。

 

 

 

 そのほかにも生命が死ぬことの意味や、日常生活でオートーファジーを活性化させる食べ物や方法など実用的な内容も書かれておりとても楽しみながら生命科学について学べます。

 

 

まとめ

 本書で述べられている、科学的思考、生命の基本単位である細胞、オートファジーについてを要約いたしましたが、その他DNAやゲノム、病気や免疫など日頃見聞きするけど難しそうな用語について非常にわかりやすく解説されており、この手の本はいくつか読みましたが一番わかりやすいのではと思いました。

 

 

 生命科学と聞くと敷居が高い感じがしますが、私たちの健康や身体の基礎知識、健康リテラシーとして知っておくと効果のない高額商材に騙されたり、エセ科学に翻弄されずに済んだりなど非常に役立つ内容です。あまりこういった内容を読まない方にもとてもおすすめです。

 

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