ミニマリスト ひかるの本棚

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【エビデンスの落とし穴】科学的根拠の見極め方

 

 

 

 

 先日ブログを書いた21世紀の啓蒙でも、科学が人類の生活の向上に大きく寄与したことを書きましたが、科学的に根拠がある、と私達がいう時にそれは何を意味しているのかということがふと頭に浮かびました。その時は適切な回答が自分の中できなかったため一度調べてみようと思い以下の本を読んだところ非常に参考になりましたので紹介いたします。

 

 

 

 結論として、大変勉強になりもっと早く知っておきたかった内容でした。Youtubeやブログ、その他さまざまなメディアの情報でも「エビデンス」「科学的根拠」という言葉が出てくると絶対的な真実のように捉えてしまっていましたが、その段階にはレベルがあり、信頼の度合いはまったく異なるとのこと。

 

 

 考えてみれば当然ですがが、動物やラットでこのような結果が出た、○名で実験したところこのような結果になったというのはどちらも根拠にはなりますが全然信頼性が違います。そして、健康系の情報にはありがちなことですが、相反する情報(○○を食べると健康に良い、○○は健康に悪いなど)が出てくるのも当然のことであり、どちらが嘘をついているということではなく、どちらも実験でそのような結果が出ている、つまりエビデンスがあるということ。ここから先の情報の解釈は私たちの判断に委ねられているということですね。

 

 

とても勉強になった点として、

・エビデンスとは科学的根拠の意味であり、エビデンスありが科学的な真実というわけではない。

・医学では専門的な医師の主張が食い違うのはよくあること。なぜなら日々更新されて進歩していくものであるから。

 

・エビデンスについて知っておくべきこと

①エビデンス=真実とは限らない

②「エビデンスあり」は、必ずしもその診断法・治療法が正しいことを意味しない

③エビデンスも玉石混淆

 

 

・エビデンスにはレベルが6段階あり、レベル1が最も信頼度が高い。

6 専門家の意見。具体的なデータなどに基づかない意見。

5 症例報告。珍しい症例、特定の治療を試したら効果があったものなど。

4 コホート研究・症例対照研究。過去にさかのぼって病気の原因などについて研究したもの。

3 非ランダム化比較試験

2 ランダム化比較試験

1 システマティックレビュー、メタアナリシス。複数の研究を統合して結果を出したもの。

 

・動物実験でなにかが証明されたというのは上記のレベルの欄外。エビデンスとして信頼性が低い。

・現代は日常的な死のリスクは非常に低く、これをしないと死ぬというものはほとんどない。たばこも吸っている人全員が肺がんになるわけではなく、ならない人の方が多い。

 

また怪しい健康情報のテンプレートとして、

「100%」「奇跡の」などはエビデンスなしとして判断する。

・○○しないと△△になるなどの脅し文句のようなもの

・権威付けされているものや個人の体験談 

 

など。その他にも特定の食品やワクチン、お酒が健康に良いのか悪いのか、今出ているエビデンスからはどのように判断すべきかなどとてもわかりやすく説明がされていて多くを学ぶことができるようになりました。

 

 

 また、最後に書いてありまして

「エビデンスは大切だけど、エビデンスは絶対的なものではない。あくまでも、ひとつの証拠として、客観的に活用することが必要」

という言葉がとても私に響きました。そもそもエビデンスは日々更新されていくものであるし、またそれは誰かが持っている価値観とは別の基準であって、それに反することを選ぶのもまた自由。体に良くないとされているものであっても、食べたらすごく幸せというものをあえて選ぶというのも一つの価値観。とても興味が出たので関連の別の書籍を読んで理解を進めたいです。

 

 

 

 

 さまざまな健康情報でなにを信頼すべきかを知りたい方はぜひ一度読んでおいた方が良いと思った一冊でした。