【幸福論】幸せとは何かを教えてくれる5つの本
幸せとは何か。以前からたまにこの事を考える時がありましたが、明確な答えを出すのが難しいなといつも感じていました。
デジタル大辞泉によると、幸福とは
不自由や不満もなく、心が満ち足りている・こと(さま)
英語のhappinessの意味は、
the state of being happy
幸せな状態ということであり、ではその満ち足りた状態になるにはどうなれば良いのか、幸せな状態とは何かと、問いが問いを呼ぶような気がしていました。
じゃあ結局どうすれば? そこから先にじぶんだけではなかなかたどり着けず、思考停止することもしばしば。いったいどうすればわかるのか。
数々の幸福論
もともとぼくは心理学をずっと勉強しているので、このテーマについてはよく考えることがあり、いろいろ本を読んでいました。そして、さまざまな人が幸福について考え、それは何かということを論じています。
色々読む中で、じぶんの頭だけではたどりつけなかった様々な幸福論を教えてくれた名著を紹介してみたいと思います。
幸福について
先日もブログで書評を書きました、ドイツの哲学者ショーペンハウアーの幸福についての考察です。ほかの著作に比べると読みやすく、厭世主義者と呼ばれた彼が考えた幸福論は非常に示唆に富んでいます。
人の行為に腹を立てるのは、行く手に転がってきた石に腹を立てるのと全く同じ愚かさである。
幸福論(アラン)
幸福論では一番有名なフランスの哲学者、アランの幸福論。当時の新聞に連載していたものを一冊の本にまとめたものと聞いたことがありますが、各タイトルごとに1、2ページほどにまとめられており、内容はそこまで難しくありません。
岩波文庫からも出版されていますが、訳が読みづらいので集英社文庫のものをおすすめします。
人は、棚からぼた餅のように落ちてきた幸福はあまり好まない。自分でつくった幸福が欲しいのだ。
幸福論(ヒルティ)
ドイツの神学者、ヒルティの幸福論。こちらも幸福論としては非常に有名で、全三部作の大著です。仕事がもたらす幸福感などは非常に共感できるトピックで勇気づけられました。
我を忘れて自分の仕事に完全に没頭ことのできる喜びとは、最も幸福である。
ラッセルの幸福論
名著と言われている幸福論はアラン、ヒルティ、そしてこのラッセルの幸福論ですが、三つの中では一番共感できたのがぼくの中ではラッセルです。嫉妬、羨望、絶望、恨み、虚しさなどのネガティブな感情への向き合い方から幸福になるためのさまざまな視点などが書かれていて、読むと生きることを楽しむとはどういうことかが非常に実感できます。
他人と比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である。何でも楽しいことが起これば、目いっぱい楽しむべきであって、これは、もしかしてよその人に起こっているかもしれないことほど楽しくないんじゃないか、などと止まって考えるべきではない。
世評に本当に無関心であることは、一つの力であり、同時に幸福の源泉でもある。
河合隼雄の幸福論
尊敬する臨床心理士の故・河合隼雄先生の幸福論。こちらは雑誌の連載をまとめたものだそうで、各トピックで1~2ページ程度にまとめられています。特に気にいっているのは、外国のおとぎ話の引用で、読んだ時に幸福とはまさにこういう事だと思ったのを覚えています。ちょっと長いですが引用します。
ある王様の一粒種の王子は、いつも満たされぬ心をかかえて、一日中ぼんやりと遠くを見つめていた。王様は息子のためにいろんなことをしてみたが駄目だった。
王様は学者たちに相談した。学者たちは「完全に満ち足りた心の男を探し出して、その男のシャツと王子様のシャツを取り替えるとよろしい」と忠告してくれた。」王様はおふれをだして、男を探させた。
そこへ1人の神父がやってきて心が満ちていると言った。王様はそういうことなら大司教にしてやろうといった。神父は「ああ、願ってもないことです」と喜んだので、王様は「今よりもよくなりたいような人間は満ち足りていない」と、追い払ってしまった。王様もなかなかの知恵ものである。
つぎに近くの国の王様が「まったく満ち足りた」生活をしている、というので、使節を送った。ところがその王様は「わたしの身に欠けるものは何一つない。それなのにすべてのものを残して死なねばならぬとは残念で夜も眠れない」と言うので、これも駄目ということになる。
王様はある日、狩りに出かけ、野原で歌を歌っている男の声があまりに満ち足りていたので話しかけてみる。王様が都会へ来ると厚くもてなすぞ、などと言うが、若者は「今のままで結構です。今のままで満足です」と言う。王様は大喜びだ。ついに目指す男を見つけたので、これで王子も助かると思い、若者のシャツを脱がせようとしたが、王様の手が止まって、力なく両腕を垂れた。男はシャツを着ていなかった。
生きがいについて
こちらはぼくの最も好きな本の一つで、何度読んだか分からない名著です。幸福ではなく「生きがい」について書かれたものですが、人間が生きて幸せに生きていくにはなにが必要かということについて多くの洞察を与えてくれます。
はじめからいえることは、人間がいきいきと生きて行くために、生きがいほど必要なものはない、という事実である。それゆえに人間から生きがいをうばうほど残酷なことはなく、人間に生きがいをあたえるほど大きな愛はない。
ひとはそれぞれの生涯のなかで、ちがった時期に、ちがった形で、人生の行手にたちふさがるこの壁ようなものにつきあたり、その威力を思い知る。その時には必ず生きがいということが問題になるであろう。このような悲しみと苦しみにみちた人生もなお生きるのに値するかと。
誰もが考えることのある幸福テーマについて優れた知性持った方々が考えた著書に触れることは大きな発見と知恵を与えられます。どんな人にも役立つ著作だと思いますので、ぜひ読んでみて頂けると嬉しいです。
ランキングに参加しています。もしよければ下のアイコンをクリックお願いいたします。