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【生の短さについて】時間が足りないのは浪費しているから

 最近は忙しいことが多く「時間が足りないな」と思うことが増えていました。「まあ仕事が忙しいのはしょうがない・・・」と考える一方で、何に時間を使っているかに思いをめぐらせると無駄な時間が思いの外多いことにも気付きました。

 

 ネットサーフィンや動画視聴などが主なものになりますが、その一方でネガティブなことを一度考えてしまうとなかなか振り払えずに、同じことを何度も考えてしまうなど、まさしく無駄な時間が多かったのです。

 

 

 

 

 

 

 

生の短さについて

 そんなことを考えていた時に、以前に読んだセネカの「生の短さについて」のことを思い出し読み直しました。今回はその書評です。

 

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

  • 作者:セネカ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/03/17
  • メディア: 文庫
 

 

 

 光文社の古典文庫で新約も発売されていますが、岩波文庫のものを再読しました。

 

 読み直して思ったのは、本当に時間を無駄にしていることが多いなと思ったこと。娯楽の時間を多く取るのはまだ良い方で、決断の先延ばしや何も決めずにいたずらに時間を過ごしている時こそ本当に無駄なことなのだと反省させられました。以前読んだ時もとても感銘を受けたのですが、二度目に読んでも同様に反省させられるとともにとても内省を促される内容です。

 

 過ぎ去った時間は二度と戻ってこない。

 時間こそ最大の資源であるが、浪費しても無限にあると思いこんでしまう。

 

 当たり前のことであるのですが、言われるまで自覚するのが難しく、しかも人生においてこれ以上に重要なことはないのではないかと思わされる内容です。さすが古典として、時の試練に耐えてきたことのある書物でした。気になったところを引用してみたいと思います。

 

 

われわれにはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。

 

 

 

多くの者は他人への幸運のやっかみか、己の不運への嘆きで生を終始する。 

 

 

 

誰もが水遠に生き続けると思って生き、己のはかなさが脳裏をよぎることなく、すでにどれほど多くの時間が過ぎ去ってしまったか、気にもとめないからである。誰かのために、あるいは何かのために費やされるまさにその日が、あるいは最後の日となるかもしれない状況の中で、あたかも満ち満ちてあり余るほどあるかのごとく生を浪費するからである。

 

 

実際、生のこの期間は、自然のままに放置すれば足早に過ぎさり、理性を用いれば長くすることのできるものであるが、君たちから逃げ去るのは必然である。なぜなら、君たちはそれをつかまえようとも、引きとめようとせず、「時」という万物の中で最も足早に過ぎ去るものの歩みを遅らせようともせずに、あたかも余分にあるもの、再び手に入れることのできるものであるかのように、いたずらに過ぎ行くのを許しているからである。

 

 

 

 

時間が求められた目的は、どちらの眼中にもある。だが、時間そのものは、どちらの眼中にない。まるで求められたものは無であり、与えられたものも無であるかのようにである。時間という何より貴重なものを弄んでいるのだ。彼らがそうした考え違いをするのも、時間というものが無形のものであり、目に見えないものであり、そのために、最も安価なもの、いや、それどころかほとんど無価値なものとみなされているからにほかならない。

 

 

 

 

 

生は粛々と流れ行くもの。王の権力をもってしても、世人の人気をもってしても、長くすることはできない。生は出発点となったその日から走り出し、そのままに駆け行く。どこかで回り道をすることもなく、どこかで道草を食うこともない。その果てにあるものは何か。君は何かに忙殺され、生は急ぎ足。やがてそのうち死が訪れ、否応なく、その死とともに君は永久に安らわねばならないのだ。

 

 

 

 

 

先延ばしこそ生の最大の浪費なのである。先延ばしは、元々のことを約束することで、次の日が来るごとに、その一日を奪い去り、今というを奪い去る。生きることにとっての最大の障害は、 明日という時に依存し、今日という時を無にする期待である。 君は運命の手帳中にあるものをあれこれ計画し、自分の手中にあるものを喪失している。

 

 

 

 

君はどこを見つめているのか。どこを目指そうというのであろう。来るべき未来のものは不確実さの中にある。ただちに生きよ。

 

 

 

 

 お金を失ったり、健康を損なったとしても人生の中では取り戻せるかもしれませんが、時間だけはこの世の中で唯一取り戻せないもの。「明日があるからまあいいか」と先延ばしにしたり、ついつい惰性で時間を潰したりしてしまうことがありますが、それらも過ぎ去ったら二度と取り戻せない貴重な時間。だからこそ多くの人が浪費してしまうのだろうと思いますが、人生でもっとも大事な資源であることを忘れずに生きていかなければならないと思わされました。まさしく名著です。

 

 

 

 

 

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