ミニマリスト ひかるの本棚

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教養が身につく108冊。 出口治明先生のブックガイド

 本を読むことで知識が深まるのはもちろんですが、優れた本からは人間として生きていく力も与えてくれると思っています。

 

 

 

多彩なジャンルで人間を学ぶ

 APUの学長でおられ、世界史の本などを中心にベストセラーを世に送り出されている出口治明先生によるビジネス書というよりブックガイドです。

 

 

ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊

ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊

 

 

 

 

 一般的なビジネス書やブックガイドとは趣きが異なり、知識人として本当に幅広い書籍を紹介されています。ただ単に商売がうまくなるとか、ビジネスのノウハウが身につくというよりも、人間力を高めるために読んでおくべき書籍の紹介といった内容。なので、紹介されている本も古典文学や哲学書、学術書、歴史研究、小説などジャンルも多彩です。

 

 歴史関連の書籍などは普段あまり手に取らないのですが、魅力的に紹介されておりぜひ読んでみたいと思わせてくれる内容でした。気になったところを引用してみます。

 

 

 カエサルの名言も、しっかり紹介されています。ほんの一部ですが引用しましょう。「理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性のたち入るすきはなくなる」

 

 

 私自身は、リーダーシップには最低3つの条件があると思っています。何かをしたい、何かを変えたい、という強い気持ちがあることがまず最低条件の一つ目です。ただ偉くなりたいだけの人をリーダーに選んではいけません。(中略)第2に、自分のしたいことをメンバーにきちんと話して共感を得る力がなければなりません。というのも、人間は面従腹背ができる動物だからです。現実には、「仰せの通りです」と言って、裏で足を引っ張るような人が山ほどいます。(中略)誰でも怖気付いて、今日は帰ってしまおうかと思ったり、思いがけなく心が折れたりすることだってあります。そんな時に丁寧にコミュニケーションを取って、最後の目的地までメンバーを引っ張っていく統率力が必要です。

 

「およそ名のある人物にあって新たな恩恵がかつて加えられた古傷を忘れさせると信ずる者は、欺かれる」
「君主たる者は、(中略)憎悪や軽蔑を招くような事態は逃れるように心しなければならない。(中略)軽蔑を招くのは、一貫しない態度、軽薄で、女々しく、意気地なしで、優柔不断な態度である」
(君主論)

 

 国や社会が勃興して大きくなり、そののち成熟して芸術に惹かれ、やがて没落していく。「ブッデンブローグ家の人びと」は、この普遍的なストーリーをある一族の歴史という形でとても上手に描いている小説です。
 
 
 人間の歴史を見ていると、世界を変えようと思って立ち上がった人の99%以上は失敗しています。「成功なんかするはずがない」というのが人生の真実です。その通りです。この真実をきちんと理解したうえで、自分の頭で考えて行動するのです。たとえ失敗しても俺は99%の多数派だと、胸を張ればいい。
 
 

 失敗を恐れる人は、みんなが成功して自分だけが失敗するのでは、というあり得ない幻想を抱くから落ち込むのです。みんな世の中を良くしようと思って行動するければ、ほとんど全員が失敗する。それが世の常であるとわかっていれば、もっと気楽に行動できるでしょう。成功するかどうかは結果論にすぎません。

 

 

 「人間はしょっちゅうアホなことをやっている。懲りない動物や。女をめぐって争ったり、金をめぐって争ったり、本当にアホや。そこで、私ヘロドトスが世界中を旅して見聞きしたためになる話や面白い話をちゃんとここに書いておくから、これを読んでアホなことを何回も繰り返さないように注意しなさいよ」
 私の理解では、ヘロドトスはきっとこう言いたかったのだろうと思います。

 

 

 学生時代に、恩師から次のように教わりました。「古典を読んで分からなければ、自分がアホやと思いなさい。現代に生きている人が書いた本を読んで分からなければ、著者がアホやと思いなさい。読むだけ時間の無駄です」と。

 

 勇気付けられる本、リーダーシップを磨くための本など、各章ごとに必要だと思う本が108冊列挙されています。これを読んでますます読みたい本が増えました。学ぶことには終わりがない、ということは生きていく上で大切なモチベーションであり、楽しみでもあるということを改めて思った一冊でした。

 

 

 

 

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