ミニマリスト ひかるの本棚

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【働き方の教科書】仕事は人生のたった3割。

 人生の中で大きな割合を占めている、仕事。しかし、生きている時間全体で見るとそこまで大きな比率ではないのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 働く、という言葉の捉え方は人それぞれだと思いますが、特にネガティブに捉えるかポジティブに捉えるかは人によって大きく異なると感じます。

 

 労働をお金を稼ぐための「手段」、苦しいものと解釈して、なるべく働かないで過ごしたいという方もいれば、反対に働くことに喜びを感じて、むしろそれを「生きがい」と捉えている人もいます。

 

 僕自身は後者で、定年することなく働ける限りはずっと働いていたいと思っています。遊ぶことももちろん楽しいですが、働くことも同じように楽しみと感じられているのは、良い仕事に出会えたからなのか、もともとの性格が影響しているのかはわかりませんが、仕事が好きです。

 

 しかし、仕事は人生のたった3割。生きることを楽しむための手段であるということを理解してからはより気楽に生きられるようになった気がします。うまくいかなくてもたったの3割。そういってくれるのは、元ライフネット生命社長、現APU学長の出口さんのこちらの著作です。

 

 

「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本

「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本

 

 

 現在は文庫にもなっているようです。もともと著者のファンなのですが、自らの仕事と教養を通じて築いてきた「働き方」の考え方に非常に共感いたしました。タイトルには無敵の50代とありますが、個人的には20代で読んでおきたかったなと感じた本です。

 

 

チャンスは何度でも訪れるという考え方は、理屈のうえだけの世界です。
 現実の人生では、人間にはそれほど多くのチャンスが与えられているわけではありません。むしろ、ほとんどが「一期一会」なのです。僕が人生を「悔いなし」と表現するのは、思ったときにやっておかなければ、次のチャンスが来るとは限らないからです。次のチャンスが来なければ、必ず悔いを残します。

 

 

 

 

 

最近よく思うのは、人生を無駄にする三つの行動です。

「済んだことに愚痴を言う」

「人を羨ましいと思う」

「人によく思われたいと思う」

人生を無駄にしても良いと考える人は、この三つを是非やってください。無駄にしたくない人は避けて頂きたいのですが、人間は三番目に書いた「人に良く思われたいと思う」ことから逃れるのが最も難しいのです。なぜなら、人間は虚栄心が強く、プライド、自意識ともに過剰な生き物だからです。人に良く思われたいと思えば、失敗する姿を人に見せたくないと考え、チャレンジをしなくなっていきます。やがて八方美人的にふるまうようになり、結局のところ自分の思いと行動が乖離していくので、それが自分を苦しめる事になります。

 

 

 

 

 

 

「 起業にチャレンジしたいと思っています。でも、途中で今の起業を辞めると、お世話になった人たちからどう思われるか気になってしまい、踏み切れません」
 これも講演会でよく出る質問です。トレードオフのひと言に尽きます。
 「新しいことをやりたいのか、陰口を叩かれるのが嫌なのか。あなたの気持ちのなかでどちらが強いのですか。新しいことをやりたいという思いが強ければ、チャレンジしたらいいじゃないですか。陰口を言われるのが嫌だったら、起業に残ればいいじゃないですか。ただそれだけのことです」
 池に石は投げたいけれども、波紋が起こるのは嫌だ。トレードオフの原則を無視したようなことは、この世の中ではありえないことなのです。

 

 

 

 

 

 

整理の仕方がわからない人は、意思決定も苦手な人が多いように思います。そうした人には、意思決定のルールを決めるよう助言します。
 まずは「一週間後に決める」ということを決めてしまいます。その期限までの間は徹底的に情報を集め、その情報をもとにして考えに考え抜きます。
 そこまでやっても決まらない場合は、十円玉の登場です。十円玉を投げて表だったらA案、裏だったらB案にすると決めておきます。この方法を用いれば、ほとんどの意思決定は簡単に行うことができます。(中略)
「一週間悩みに悩んでも決められないということは、どちらを選択してもたいして差がないということです。ほとんど差がないことのために、さらに一週間時間を使うのは無駄以外何物でもありません。十円玉で決めたほうが、よほど生産的です」

 

 

 

 

 

一年間を時間で表すと八七六〇時間になります。日本人が実態に近い二〇〇〇時間働いているとしても、八七六〇時間のなかの二三パーセント程度です。(中略)「仕事とは、人生の七割を占める最も大切な時間の兵糧を確保するための手段である」

 

 

 

 

 

 

 

人を使う役割に変わったときに大切になるのは「人間のリアリティ」を知ることです。では、リアリティとはなんでしょうか。
「人はみな変な人間で、まともな人はいない」
「人格円満で、立派な人なんかいない」
「人はみんななまけものである」(中略)
会社の上司は、自分の部下の衣食住の面倒を見ているわけではありません。偶然同じ職場に居合わせ、1日のせいぜい七〜八時間の間一緒に働いているだけです。強いて言えば、少し経験が長いため、部下に仕事のほんの一部を教えているだけです。そう考えれば、部下が自分の子どもの一〇分の一ほどの思い通りに動かないのは当然だというリアルな認識が持てます。

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ人が研究した「ロサダの法則」というものがあります。大雑把に言うと、人間が一回の叱責に耐えられるのは、その裏に二・九回褒められることが最低条件になっているということです。つまり、二回褒めて一回叱る組織に属する人間のモチベーションは明らかに下がり、三回以上褒めて一回叱る組織の人間のモチベーションが維持できるのです。いい組織では、六回褒めて一回叱るということを実践しているそうです。

 

 

 

 

 

人間の最も厄介な性質は、自尊心が強いということです。うぬぼれが強く、たいした仕事もできないのに「自分ができる」「自分はえらい」と思っています。人間は褒められるのが大好きで、叱られるのは大嫌いです。これは人間の脳の癖なので避けては通れません。だとすれば、ロサダの法則以上に褒めてあげなければ部下のやる気を引き出すことはできません。

 

 

 

 人間のリアリティを知る、という部分には特に共感しました。総合職だった頃、人が思うように動かずにイラついてしまうこともありましたが、みんな大して立派ではないということがわかっていればもう少し感じ方も違っていたのではないかと思います。これは仕事だけでなく、家庭、友人などでも応用できる考え方で、要は期待しすぎないことが 肝要だということでしょう。

 

 読むと働き方、生き方も変わる良書だと思います。

 

 

 

 

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