【池上彰さんのおとなの教養】すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。
数年前から書店に行くと「教養」についての本が数多く目にするようになりました。そういったものをパラパラとめくりながら思っていたのは、「基礎的なことが、自分は以外とわかっていない」ということ。
教養とはなにか
そもそも教養とはなんでしょうか。英語では、リベラルアーツと呼ばれます。リベラルは、自由。アートは、学問や芸術などのこと。人が自由になるために必要な学問という意味がある、と以前瀧本哲史さんの本でも読んだことがありました。
無知や偏見、また嘘を見破り、自由に生きていくための力を身につけるために教養、学問が必要であると解釈しています。かつてヨーロッパでは、文法、算術、論理学、音楽、天文学、修辞学、文法の7つが学問の基本であるとされてきたそうです。
現代の教養
本日紹介するのは、数々のニュース番組で活躍されているジャーナリスト、東工大教授の池上彰さんが書かれた「おとなの教養」です。
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/04/09
- メディア: 新書
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本書では現代人が知っておくべき教養として、宗教、宇宙、人類、病気、経済、歴史、日本の7つのトピックを取り上げています。なんとなく聞いたことがあるけど、よく知らなかった「教養」が幅広く学べる内容となっていました。気になったところを引用してみたいと思います。
マサチューセッツ工科大学に行って印象的だったのは、音楽の授業がとても充実しているということです。ピアノがズラリと並んでいて、学生たちが音楽の勉強をしていました。なぜそんなことをやるんだろう。尋ねると、マサチューセッツ工科大の先生がこう言いました。マサチューセッツ工科大学は、科学技術の最先端を研究しています。当然、学生にも最先端のことを教えるのですが、最先端の科学をいくら教えてと、世の中の進歩は早いものだから、だいたい四年で陳腐化してしまう。そうするとまた勉強し直さなければならない。そんな四年で古くなるようなものを大学で教えてもしようがない。そうではなく、社会に出て新しいものが出てきても、それを吸収し、あるいは自ら新しいものを作り出していく、そういうスキルを大学で教えるべきでしょう。
すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる。だから本当の教養というのは、すぐに役に立たないかもしれないけど、長い人生を生きていくうえで、自分を支える基盤になるものです。その基盤がしっかりしていれば、世の中の動きが早くてもブレることなく、自分の頭で深く考えることができるようになるわけです。
約は約束のこと。神がイエスをこの世に遣わされたことによって、人びとは神と新しい約束をした。キリスト教ではこのように考えて新約といいます。キリスト教から見ると、それまでのユダヤ教の聖書は古い約束なので、旧約聖書の呼ばれるようになりました。
ユダヤ教の神、キリスト教の神、イスラム教の神はみな同じ神です。
私たちは、太古の生物から人間までの移り変わりを進化という言葉で表現します。では、進化とはなんでしょうか。間違ってはいけないのは、進化=進歩ではないということです。進化というと何か、進んでいるというイメージがあります。そこには進んでいるものほど優れているという価値判断も伴っています。でも、それは人間中心的な考え方ではないでしょうか。進化とは決して劣ったものから優れたものへと進化することではないのです。
スペイン風邪によって、世界中で4000万人から5000万人が死んだと見られています。感染者は6億人にものぼりました。第一次世界大戦はなぜ終わったのか、実は敵 味方、みんなスペイン風邪にかかってバタバタ倒れてしまい、戦争を続けることができなくなってしまったからです。
聖書であれ古事記であれ、それを現在の私たちが読むことができるのは、文字で言葉を書き残すことができたからです。ということは、文字として記すことができなかった物語や神話もたくさんあったに違いありません。文字で書き記すことができた人たちが、自分たちの起源に関する物語を記述することができた。キリスト教も天皇制も、いわば歴史の勝ち組です。そうすると、歴史とは常に勝者によって描かれてきた勝者の物語なのではないか。このように考えることができると思います。
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